日本で見られる皆既月食

文:Dr. Paul E Cizdziel

月食は満月のときに起こります。月が地球の影に入り込むときに見られる現象です。とはいえ、毎回の新月や満月で必ず起こるわけではありません。というのも、月の軌道は地球の公転面からおよそ5度傾いているため、太陽・地球・月が一直線に並ぶことはそう頻繁にはないのです。

月食には3種類あります。皆既月食・部分月食・半影月食です。これらは月がどの程度まで地球の本影(つまり中心部の濃い影)に入り込むかによって決まります。

月が完全に本影に入ると皆既月食となり、その前後には部分月食の段階が見られます。月が本影に一部だけ入る場合は部分月食となり、月の一部は太陽光に照らされ、残りの部分は赤みを帯びた濃い影に覆われます。そして月が本影には入らず、そのすぐ外側を通過すると半影月食となりますが、こちらはあまり劇的な変化ではありません。

幸いなことに、月食は地球上で月が地平線の上にある場所ならどこからでも観測できます。ただし、そのときの天候、つまり雲に覆われていないかどうかに左右されます。

今回の皆既月食は、9月7日深夜から8日未明にかけて、日本を含むアジア全域で観測できます。皆既食の始まりは9月8日(月)午前2時30分で、82分間続き、午前3時53分に終了します。

もし今回見逃した場合は、次の皆既月食は2026年3月3日、その次は2028年12月31日に訪れます。

ぜひ夜空を見上げて楽しんでみましょう。



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サイエンスアドバイザー Dr. Paul E. Cizdziel からのメッセージ

Laurus Internaitonal School of Science初中等部のキャンパス内にある「Ad Astra ルーム」は、主に宇宙科学に関する教育に特化した学習スペースです。宇宙科学は、これからの時代に欠かせない分野であり、教育の中でもますます重要性を増しています。<br><br>この分野には、私のようなアマチュアの天体写真愛好家から、航空宇宙工学、政府機関、研究機関、さらには急成長を遂げ、多くのチャンスが広がる商業宇宙産業まで、幅広い領域が含まれます。<br><br>このブログでは、そうしたさまざまな分野の最新トピックについて、生徒や保護者の皆さんが興味を持てるような情報を定期的に発信していきたいと思います。

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