インターナショナルプリスクールの選び方 - 東京・7つの軸
「英語で過ごせる園に入れたい」と思って調べ始めたものの、東京にはインターナショナルプリスクールがあまりにも多く、しかも園ごとに書いてあることが違う——比較のしかたが分からなくなってしまった、という声をよく伺います。ホームページはどこも魅力的に見えますし、見学に行けば行ったで「いい園だった」で終わってしまいがちです。
比較が難しいのは、保護者の方の情報収集が足りないからではありません。インターナショナルプリスクールには、幼稚園や認可保育園のような統一された制度の枠組みがなく、園ごとに設計思想がまったく違うためです。つまり、共通のものさしが用意されていないのです。
そこで本記事では、東京でインターナショナルプリスクールを選ぶときに使える7つの比較軸を言語習得の研究と保育の質に関する国際的な整理、そして公的資料をもとに組み立てました。あわせて、見学当日に見るべきポイントも具体的にご紹介します。
IN THIS ARTICLE
インターナショナルプリスクールとは?東京で選択肢が多い理由
インターナショナルプリスクールとは、未就園の乳幼児が英語を中心とした環境で日中を過ごす施設の総称です。制度上の呼び名ではないため、実態は園によってかなり異なります。
多くの園は、児童福祉法上の「認可外保育施設」として運営されており、都道府県等に届出を行って運営されています。この届出は任意ではなく、無償化の給付を受けるための前提条件にもなっています。1
「インターナショナルスクール」との違いも整理しておきます。
| インターナショナルプリスクール | インターナショナルスクール(学齢期) | |
|---|---|---|
| 主な対象年齢 | 概ね1〜3歳(園により6歳まで) | 概ね5・6歳〜18歳 |
| 制度上の位置づけ | 多くは認可外保育施設として届出 | 各種学校・無認可等さまざま(一条校ではない場合が多い) |
| 就学義務との関係 | 未就学のため直接の関係はない | 小学校以降は就学義務との関係を要確認 |
| 選ぶときの主眼 | 過ごす環境の質・言語環境・通いやすさ | 教育課程・進学実績・資格 |
未就園の年齢帯では、就学義務のような法的論点はまだ関係しません。だからこそ「どんな一日を過ごすか」がそのまま選択の中身になります。
東京に選択肢が多いのは、需要の集積に加えて設置形態の自由度が高いためです。英会話スクールの延長線上にある園、特定の教育法を掲げる園、長時間保育型の園、探究・STEM型の園——同じ言葉の下に性格の異なる施設が並んでいます。選びにくさの正体はここにあります。
東京でインタープリスクールを選ぶ7つの比較軸
以下の7つは、優先順位ではなくチェックする順序として並べています。ご家庭にとって重みの置きどころは異なって当然です。
1. 言語環境——「英語」ではなく「英語で過ごす割合」で見る
園の紹介文にある「英語環境」「オールイングリッシュ」という言葉は、実態の幅がとても広いものです。確認したいのは看板ではなく、一日のうち英語で過ごす時間が何割かです。
言語発達の研究では、二言語に触れて育つ子どもの習得は、接触の「量」に強く左右されることが繰り返し報告されています。フロリダ・アトランティック大学のエリカ・ホフ教授らによれば、「子どもが受けるインプットのうち20%を下回る言語は習得されにくい」という指摘がある一方で、 2歳児で20%程度の接触でもその言語をある程度身につけている例も報告されており、明確な基準値があるわけではないとされています。5
大切なのは「20%」という数字そのものではなく、接触量は連続的に効いてくるという点です。週1回1時間の英語と、週5日を英語で過ごす環境とでは、同じ「英語に触れる」でも子どもが受け取る量がまったく違います⁵。
そのうえで、会話の英語と、学びの英語は育ち方が違うことも押さえておきたいところです。トロント大学のジム・カミンズ教授は、日常のやりとりで使う言語の力と、授業で概念を理解し自分の言葉で説明する言語の力を分けて考え、後者が学年相当の水準に届くにはより長い年月がかかると整理しています⁶。プリスクールの2年間で身につくのは主に前者の土台です。その先をどう続けるかまで見通しておくと、園選びの判断が変わってきます。
見学では「一日のうち日本語を使う時間はどこか」「泣いているときや体調が悪いときは何語で対応するか」を尋ねてみてください。特に後者は重要です。安心が必要な場面での言語には園の考え方がはっきり表れます。
2. 保育の質——「構造の質」と「プロセスの質」を分けて見る
OECDは、乳幼児期の教育・保育の質を2つに分けて整理しています。ひとつは、職員の配置や資格、クラスの人数、施設環境といった、入園前に確認できる条件(構造の質)。もうひとつは、その環境のなかで子どもが実際に経験する、大人とのやりとりや活動そのものの中身(プロセスの質)です。そして、子どもの発達や学び、ウェルビーイングにもっとも近いところで働くのは、後者だとされています。7
これは園選びに直接効く方法です。パンフレットに書かれているのは主に構造の質(先生の人数、教室の広さ、資格)でプロセスの質は見学でしか分かりません。
構造の質については、認可外保育施設に共通の下限が定められています。国の認可外保育施設指導監督基準では、保育に従事する者のうちおおむね3分の1以上が保育士または看護師の資格を有することが求められ²東京都の基準では、乳幼児1人あたりおおむね1.65平方メートル以上の保育室面積、0歳児は概ね3人に1人、1・2歳児は概ね6人に1人という職員配置が示されています³。
ただし、これはあくまで最低ラインです。多くの園はこれを上回る配置をしていますし、逆に基準ぎりぎりの園もあります。「先生は何人いますか」ではなく、「1歳児クラスは今、子ども何人に先生何人ですか」と尋ねるほうが、比較可能な答えが得られます。
一方のプロセスの質は、数字では表せません。見学中に、先生が子どもの目線の高さまで下りているか、子どもが何かを見つけたときに指示ではなく応答が返っているか——そうした場面を意識して見てみてください。
3. 費用——月謝だけでなく「年間総額」と無償化の可否で見る
費用は園差が非常に大きく、月謝だけを比べると実態を見誤ります。入園金・教材費・給食費・施設維持費・課外活動費・スクールバス代・年度更新料総額まで含めた年間総額で並べると、印象が変わることが少なくありません。
もう一つ確認したいのが、幼児教育・保育の無償化の給付が使えるかかどうかという点です。こども家庭庁は、認可外保育施設の利用について次のように定めています。1
| 対象 | 上限額(~2026年9月利用分) | 上限額(2026年10月利用分~) |
|---|---|---|
| 3〜5歳 | 月額3.7万円まで | 月額40,300円 |
| 0~2歳(住民税非課税世帯) | 月額4.2万円まで | 月額45,700円 |
さらに、対象となる認可外保育施設は、都道府県等に届出を行っています。1 つまり、園が届出をしているかどうかは、家計に直接関わる確認事項です。
このほか、東京23区・多摩地域の一部では独自の保育料助成を設けている自治体もあります。制度は年度ごとに変わるため、お住まいの区市町村の最新案内でご確認ください。
4. 卒園後の進路——3歳以降をどこで過ごすか
プリスクールは多くの場合1.5〜3歳の期間を担います。そのため、卒園後の受け皿があるかどうかは入園前に確認しておきたい軸です。
選択肢はおおむね3つに分かれます。
- 同じ園のキンダーガーテン(3〜6歳)に進む— 環境と人間関係が続く。英語の接触量も維持しやすい
- 日本の幼稚園・保育園に移る――日本語環境に戻る。転園時期と入園選考のスケジュール確認が必要
- 別のインターナショナルスクールに移る— 選考・空き状況の影響を受けやすい
軸1で触れたBICS/CALPの区別が効いてくるのがここです。会話の流暢さは比較的早く育ちますが、学びを支える言語能力は年単位で積み上がるものとされています。⁶2年で区切るのか、その先も英語環境を続けるのか——ご家庭の見通しによって、選ぶべき園は変わります。
なお、プリスクール・幼稚園・保育園の制度上の違いについては、「プリスクール (プリスクール)」とは何か、保育園や幼稚園との違いで詳しく整理しています。
5. カリキュラム——「英語で何を学ぶか」まで見る
英語環境であることは前提として、その英語を使って何をしているかが園の個性です。ここが曖昧な園と明確な園では、日々の過ごし方が大きく違ってきます。
| タイプ | 中心にあるもの | 向いているご家庭 |
|---|---|---|
| 言語習得中心型 | フォニックス、歌、絵本など英語そのもの | 英語の土台づくりを最優先したい |
| 探究・STEM型 | 観察・実験・問いを立てる活動を英語で行う | 考える力と英語を同時に育てたい |
| 教育法特化型 | モンテッソーリ、レッジョ等の理念に基づく活動 | 特定の教育観に共感している |
| 生活・保育中心型 | 長時間保育と生活習慣の確立 | 就労世帯で保育時間の確保が最優先 |
どれが優れているという話ではありません。ご家庭が「この2年で何を大切にしたいか」と、園が大切にしているものが重なっているかが判断の中身です。
見学では「カリキュラムは何ですか」ではなく、「先週の1週間、子どもたちは具体的に何をしていましたか」と尋ねてみてください。
6. 通いやすさ——2年間続けられる設計か
東京では、電車移動を伴う通園が現実的な負担になります。通園日数の選択肢(週2日から選べるか、週5日固定か)、保育時間と延長保育の上限、給食かお弁当か、スクールバスの有無、きょうだいの預け先との動線——このあたりが継続可否を分けます。
理想的な教育内容でも、送迎が続かなければ2年間は完走できません。特に下のお子様の出産予定があるご家庭は、その時期の通園手段まで想定しておくと安心です。
7. 家庭との相性——日本語と、保護者の関わり方
最後は、園と家庭の役割分担です。
日本語の扱いは園によって考え方が異なります。日本語の時間を設けている園、完全に英語のみの園、家庭に日本語を委ねる園。どれも一つの方針であり、ご家庭の言語環境と組み合わせて考えるものです。日本語で過ごす時間が家庭に十分あるかどうかが判断材料になります。
保護者の関わり方も確認しておきたい点です。行事の参加頻度、保護者会の有無、連絡手段(アプリか紙か、日本語対応か)、日々の様子がどう共有されるか。共働きのご家庭では、ここが継続可否を左右することがあります。
見学当日のチェックリスト
見学は多くの場合1時間ほどです。印象で終わらせないために、事前に見る観点を決めておくことをおすすめします。以下は7つの軸に対応させたリストです。
(1)言語環境
- 日中に日本語が使われるのはいつで、その理由は何か
- 英語を話すスタッフと日本語を話すスタッフの人数と役割
- 子どもが泣いているときや体調が悪いときに使う言葉
(2)保育の質
- 該当クラスの実際の子ども数と担当者数
- 保育士などの有資格者の人数
- 先生が子どもの発話にどう応答しているか
- 子ども同士のトラブルへの関わり方
(3)費用
- 年間総額(入園金・教材費・給食費・行事費・バス代を含む)
- 年度途中の値上げ・更新料の有無
(4) 卒園後
- 3歳以降のクラスの有無と進級の条件
- 卒園生の主な進路
(5) カリキュラム
- 先週1週間の実際の活動内容
- 屋外活動・戸外遊びの頻度
(6)通いやすさ
- 通園日数・時間の選択肢
- スクールランチかお弁当か、延長保育の上限
(7) 家庭との相性
- 保護者が参加する行事の年間回数
- 日々の様子の共有方法と、日本語での連絡可否
そしてもう一つ、お子様が実際にその場でどんな表情をしているかを見てください。大人が納得する条件がすべて揃っていても、本人が落ち着けない環境では2年間は続きません。可能であれば、体験クラスのある園を選ぶと判断材料が増えます。
「こんなはずでは」を減らすために——起こりがちなミスマッチ
比較検討の段階でよく伺うつまずきを、あらかじめ整理しておきます。どれも園側の問題ではなく、期待と実態のずれから生じるものです。
「英語が話せるようになる」を成果の基準にしてしまう
言語の伸び方には大きな個人差があり、同じ環境でも表れ方は一人ひとり違います。発話が少ない時期にも理解は進んでいることが多く、外から見えにくいだけということも少なくありません。園を評価する軸を発話だけに置くと、判断を誤りやすくなります。
説明会の印象だけで決めてしまう
説明会は園がもっとも整った形を見せる場です。可能であれば通常の保育時間帯の見学も申し込み、日常の様子を見せてもらうようお願いしてみてください。
通園の負担を過小評価してしまう
入園前は「これくらいなら通える」と思えた距離が、雨の日や下のお子様を連れての送迎では大きく変わります。2年間の平均的な日を想定して考えるのが現実的です。
卒園後を考えずに入園する
卒園後の進路で触れたとおり、3歳以降の見通しがないまま入園すると、転園の時期に選択肢が限られることがあります。入園時点で「その先」の仮説を持っておくと、後の判断が楽になります。
大切なのは、どの園が優れているかを決めることではなく、ご家庭の優先順位を先に言葉にしておくことです。優先順位が定まっていれば、比較はずっと簡単になります。
ローラスの場合——7つの軸で見るとどうなるか
ここまでの7つの軸を、実際の園に当てはめるとどう見えるのか。参考として、私たちの環境をこの枠組みで整理してみます。同じ形式で他の園にも当てはめてみていただくと、比較しやすくなるはずです。
ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンスプリスクールは、18ヶ月から3歳までの子どもを対象に、科学と英語⁸という2つの柱を基盤としたオールイングリッシュ環境で保育を行っています。これは「探究型/STEM主導型」のカテゴリーに該当し、観察や実験の過程で英語が用いられています。
通いやすさについては、週1日から週6日まで日数を選べ時間は5時間コース(9:00〜14:00)とフルデイコース(8:30〜18:00)を選択できます。⁸東京・神奈川に複数のスクールがあり、ご自宅や勤務先からの動線で選んでいただけます。
卒園後については、同じ環境でキンダーガーテン (3~6歳)へと続きそして初等部から中高等部へと一貫した学びの場を用意しています。会話の英語から学びの英語へと段階的に移行していく時間軸を、園内で確保できる構成です⁶。
もちろん、この設計がすべてのご家庭に最適というわけではありません。日本の幼稚園への進学を前提とされるご家庭や、保育時間の確保を最優先とされるご家庭には、別の選択肢のほうが合うこともあります。7つの軸で並べたときに重なりが多い園を選ぶ―それが納得のいく選び方だと考えています。
通園パターンや手続きの詳細は「入学案内」をご覧ください。
まとめ
東京でインターナショナルプリスクールを選ぶとき、共通のものさしは用意されていません。だからこそ、言語環境・保育の質・費用・卒園後・カリキュラム・通いやすさ・家庭との相性という7つの軸を自分の手で持っておくことが、比較の助けになります。
そして、パンフレットで分かるのは条件面(構造の質)まで。子どもの育ちにもっとも近いところで作用するのは、日々のやりとりの質(プロセスの質)だとされています。その部分は見学でしか確かめられません。7
ローラスでは、年間を通じて学校見学や説明会を開催しています。同じ7つの軸で、いくつかの園を比較してみてください。
Q&A よくある質問
9件園の形態・保育時間・日数によって幅が大きく、月謝だけでは比較になりません。入園金・教材費・給食費・行事費・バス代を含めた年間総額で並べることをおすすめします。なお認可外保育施設としての届出があり保育の必要性の認定を受けた場合、3〜5歳で月額3.7万円、0〜2歳の住民税非課税世帯で月額4.2万円までが無償化の対象です。1
プリスクールは主に未就園(概ね1〜3歳)のお子様が英語環境で日中を過ごす施設で、多くは認可外保育施設として届出をして運営されています。インターナショナルスクールは学齢期(概ね5・6歳以降)の教育機関を指すことが多く、就学義務との関係を確認する必要があります。年齢帯と、制度上の位置づけが異なります。
東京都内には多数の園があり、民間のポータルサイトが一覧を掲載しています。あわせて、東京都や区市が公開している認可外保育施設の届出施設一覧を確認すると、届出の有無まで含めて把握できます。東京都福祉局のサイトでは立入調査の結果も公表されています⁴。
園によって異なり、1歳前後から受け入れる園もあれば、2歳・3歳からの園もあります。おむつが外れていることを条件とする園、母子分離ができることを条件とする園もあるため、募集要項でご確認ください。発達のペースには個人差があり、月齢だけで判断できるものではありません。
多くの園は英語に初めて触れるお子様を前提に受け入れています。二言語環境での習得は接触の量に左右されるとされており5入園時点の英語力よりも、入園後にどれだけ英語で過ごすかが影響します。最初の数か月は発話が少ないことも珍しくありませんが、理解は先に進んでいることが多いとされます。
家庭で日本語に触れる時間が十分に確保されていれば、二言語に触れて育つこと自体が発達の遅れにつながるとは考えられていません。言語の習得はそれぞれの言語への接触量を反映するとされており⁵家庭での日本語をどう保つかが実際の焦点になります。発達のペースには個人差があるため、気になる場合は自治体の発達相談も選択肢の一つです。
決まった数はありませんが、3校前後を同じ観点で見ると比較の軸が定まりやすくなります。1校だけでは基準が持てず、多すぎると印象が混ざります。本記事のチェックリストを印刷して、園ごとに同じ項目を埋めていく方法をおすすめします。
まずは担任の先生に具体的な様子を共有し、園としてどう見ているかを聞いてみてください。慣れるまでに時間がかかるお子様も多く、数か月で落ち着くケースは少なくありません。それでも状況が変わらない場合は、通園日数を減らす、時間を短くするなど、負担を調整できるか相談する方法もあります。
- 無償の幼児教育・保育の概要 日本国子ども・家族庁
- 「認可外保育施設に対する指導・監督の実施について」(通知、2023年1月31日、告発第131006号)の一部改正 厚生労働省/子ども・家族庁・通知
- 別表1 — 認可外保育施設に対する指導・監督基準 東京都・基準
- 実地検査結果の公表(許可制度の対象外施設) 東京都社会福祉局
- Hoff, E., & Core, C. (2013). 「バイリンガルに育つ子どもにおける言語入力と言語発達」. 『Seminars in Speech and Language』, 34(4), 215–226. フロリダ・アトランティック大学 · 査読付き
- Cummins, J. (2008). BICSとCALP:その区別に関する実証的・理論的現状。『Encyclopedia of Language and Education』第2版、第2巻、71–83頁。Springer。 トロント大学OISE
- OECD (2019). 『質の高い幼児教育・保育の提供:2018年「Starting Strong」調査の結果』. OECD・TALIS「Starting Strong」
- プリスクール 公式ページ) —ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンス ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンス

