おうち英語とは?始め方と教室を併用するメリット

「英語のかけ流しを続けているけれど、本当に分かっているのだろうか」「絵本もアプリも試した。でも英語で話す様子はない」——おうち英語に取り組む中で、こうした手応えのなさに突き当たる保護者の方は少なくありません。検索すれば成功した家庭の記録が並ぶ一方、「意味ない」「やめた」という言葉も見つかります。

この記事では、おうち英語とは何かを整理したうえで、家庭でのインプットが「話す力」につながるかを左右する条件を、バイリンガル発達の研究から読み解きます。あわせて、つまずきへの向き合い方と、家庭に教室を足す「併用」という選択肢をご紹介します。

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おうち英語とは?基本の整理

おうち英語とは、英語教室やインターナショナルスクールに通うかどうかとは別に、家庭を中心に英語に触れる環境をつくる取り組みを指す言葉です。保護者が先生役になる場合も、教材や動画に任せる場合も含まれます。

手段主な役割向いている時期
歌・かけ流し英語の音とリズムに慣れる0歳から
絵本の読み聞かせ語彙と文の型に触れる0歳から
動画とアプリ楽しみながら量を確保する2歳頃から
生活の中の語りかけ場面と言葉を結びつける0歳から
オンライン英会話・教室相手と英語でやりとりする1歳頃から

始める時期にも「何歳から」という決まりはありません。0歳から歌で始める家庭もあれば、幼稚園に入ってから絵本を増やす家庭もあります。開始時期より結果を左右する要因については「赤ちゃんはいつから英語はいつから?」でも整理しています。

ここまでは多くの記事で語られる内容です。本記事で掘り下げたいのは、その先の「なぜ同じように取り組んでも差が出るのか」という問いです。

「わかるのに話さない」はなぜ起きるのか

おうち英語で最も多く聞かれる悩みが、理解はしているようなのに英語が口から出てこない、というものです。これは失敗ではなく、言語発達の研究で繰り返し確認されてきた現象です。

理解する力と話す力は、同じ量では育たない

カナダ・モントリオールで英語とフランス語に同時に触れて育つ5歳児を調べた研究(Thordardottir, *International Journal of Bilingualism*, 2011年)では、2つの言語には、同程度触れている子どもの「理解語彙」は、その言語だけで育つ子どもと変わらない水準でした。ところが「産出語彙」——自分で使える言葉——が同水準に達するには、より多く触れる必要があったと報告されています 3。

理解と発話は別のハードルであり、発話のほうが高い。「わかるのに話さない」が起きやすいのは、この非対称性から説明できます。

「話す相手がいるか」で結果が変わる

同じ方向を示すのが、家庭内で誰がどの言語を使うかを調べた大規模調査です。ベルギーの1,899家庭を対象とした調査(De Houwer, *Applied Psycholinguistics*, 2007年)では、家庭でその言語を使う親が2人か1人かで、子どもが実際に話すようになる割合が大きく変わりました。両親ともが使う家庭では9割を超えた一方、片方の親が2言語を使いもう片方は地域の言語のみという家庭では34%まで下がっています12。研究者自身も、よく知られた「片親一言語」の方式は2言語を話せるようになるために必要でも十分でもないと結論づけています。1

この調査は親のいずれかがその言語の話者である家庭を対象としており、保護者の第一言語が日本語であるおうち英語に数値をそのまま当てはめることはできません(家庭の言語配分については、「バイリンガル教育とは?」で詳しく整理しています。それでも読み取れるのは、その言語を使う相手と場面がどれだけあるかが、実際に話すかどうかを左右するという点です。

日本のご家庭の多くは、英語を使う相手が限られた状態から出発します。難しいことをしているのだと知っておくだけでも、手応えのなさを「うちの子は向いていない」と受け取らずに済みます。

家庭での取り組みの質を上げる3つの原則

触れる量を一気に増やすのは現実的ではありません。研究が示すのは、同じ時間でも「関わり方」で結果が変わるということです。

1. かけ流しより「やりとり」

音声や映像を流すだけでは学習が起きにくいことは、生後9ヶ月の乳児を対象とした実験(Kuhl, Tsao & Liu, *PNAS*, 2003年)で示されています。4では、家庭での関わり方を変えると何が起きるのでしょうか。

これを直接調べたのが、生後6〜18ヶ月の家庭を対象とした無作為化比較試験(Ferjan Ramírez, Lytle & Kuhl, *PNAS*, 2020年)です。抑揚を大きくした語りかけ(parentese)とやりとりの増やし方をコーチングされた家庭では会話の往復が増え、18ヶ月時点で子どもが使える語彙は平均約100語、コーチングを受けなかった家庭では約60語⁵ という差が報告されました 。保護者の関わり方を変えるだけで、子どもの言葉に届くということです。1対1の場面での語りかけの多さが後の語彙量と関連することも、同じ研究チームが報告しています(少人数の比較のため、数値をそのまま期待値と受け取るべきものではありません。⁶。

かけ流しを止める必要はありません。そのうち5分を「向き合って声をかけ合う時間」に変えるほうが、10分増やすより効いてくる可能性が高い、ということです。

2. 絵本は「読む」より「対話する」

読み聞かせも、読み方で効果が変わります。子どもに問いかけ、答えを広げ、繰り返す「対話型読み聞かせ(dialogic reading)」の効果をまとめたメタ分析(Mol, Bus, de Jong & Smeets, *Early Education and Development*, 2008年)では、通常の読み聞かせと比べて、表出語彙で中程度の効果(d = 0.59)が確認されました。効果は2〜3歳で大きく、4〜5歳では小さくなる傾向も示されています 7。

英語の絵本でも、やり方は同じです。

  • 絵を指して問いかける — "What's this?" "Where is the cat?"
  • 答えを広げて返す — "Yes! A big red bus."
  • 次を予想させる — "What happens next?"

1ページに1つ問いかけるだけで十分です。読み切ることより、往復が生まれることを目安にしてみてください。

3. 動画は「一緒に見る」

米国小児科学会(AAP)は生後18ヶ月未満はビデオ通話を除きスクリーンメディアを推奨せず、18〜24ヶ月では質の高い内容を保護者が一緒に見て説明することを勧めています8世界保健機関(WHO)も1歳未満は座ったままの視聴を避け、1〜2歳は1日1時間以下を目安としています。9

英語の動画に価値がないという話ではありません。流しっぱなしにせず、隣で一緒に見て声をかける材料として使うことで、先の2つの原則と同じ形に近づきます。

おうち英語のつまずきと、続けるための考え方

関連する検索語には「意味ない」「やめた」「後悔」といった言葉が並びます。よくあるつまずきを、背景と対応で整理しました。

つまずき背景考えられる対応
理解はするが話さない産出は理解より多くの経験を要する3英語で応答する相手・場面を増やす
英語を嫌がるようになった学習として負荷になっている歌・遊び・絵本に戻し、量を一度減らす
保護者の英語力に不安発音の正確さが心配研究が重視するのは応答の往復。5音源や講師と役割を分ける 
日本語の発達が心配日本語での会話量が減っている場合がある日本語の語りかけを土台に、英語を足す順序にする
続かない・自信がない家庭だけで抱えている定期的な場を外に持ち、家庭の負荷を分散する

押さえておきたい視点がもう一つあります。バイリンガル発達研究のアニック・ドゥ・ハウワー教授は、家族が心地よく過ごせているかを2言語の発達の中心に据える「調和的バイリンガル発達(harmonious bilingual development)」という考え方を提唱しています2英語の進度のために家庭の空気が張りつめるなら、その取り組みは長続きしません。

発達のペースにはお子様それぞれの個人差があります。続けられる形に整えること自体が、方法選びと同じくらい大切です。

教室を併用するメリット——家庭に足りない「話す必然」を足す

ここまでの研究を並べると、家庭の得意と苦手がはっきりしてきます。家庭は触れる量と日常化に強く、英語を使う必然のある相手をつくるのが難しい。教室を併用する意味は、この不足を補うところにあります。

家庭教室
主な役割インプットの量・習慣化アウトプットとやりとり
内容歌、絵本、生活の中の語りかけ講師や同年代との対話、行事
頻度の目安短時間で毎日(10~15分、数回)週1回など定期的に

これらを組み合わせることで期待できることは、主に4点です。

  1. 英語で応答してくれる相手ができる— 産出語彙が伸びるには使う機会が要ります3
  2. 対面のやりとりが学びを開く――音や映像では確認されなかった学習が、生身の相手との関わりでは起きていました4
  3. 家庭での関わり方を持ち帰れる――保護者への働きかけが子どもの語彙に及ぶことは介入研究でも示されています 5
  4. 先の見通しが立つ。小学校では第3・4学年で外国語活動、第5・6学年で教科としての外国語が実施されています。家庭だけで完結させず、続く道筋の中に置けます。10

週1回の教室が英語力を完成させるわけではありません。家庭のインプットに、話す相手という一点を足すこの組み合わせが、おうち英語の手応えを変えていきます。

ローラスの親子英語教室(マザー&トドラー)での取り組み

ここまでご紹介した「対面でのやりとり」「歌とリズム」「保護者が関わり方を持ち帰る」。これらを一つのレッスンとして形にしているのが、ローラスインターナショナルスクールオブサイエンスの親子英語教室(Mother and Toddler)です。

対象は生後10〜18ヶ月のお子様と保護者の方。1回45分・少人数のオールイングリッシュのクラスで、経験豊かなネイティブ講師が一人ひとりに向き合います。保護者の方が同伴するため、レッスンの歌や声かけをそのままご家庭に持ち帰っていただけます。手遊びや絵本に加え、身のまわりの不思議に手を伸ばすサイエンスの体験を英語で行う点が、サイエンスを教育の切り口とするローラスならではの特色です。¹¹

ここから1.5歳〜の プリスクール キンダーガーテン、初等部へと学びの道が続きます。12現在は東京・神奈川の6スクール(文京・白金台・自由が丘・武蔵小杉・武蔵新城・月島)で開催し、単発の体験レッスンもご用意しています。

まとめ

おうち英語で結果が分かれる理由は、取り組みの量よりも「どう関わるか」にあります。理解する力と話す力は別のハードルであり、話す力には使う機会が必要でした。³。そして家庭で最も足りにくいのが、その「英語で応答してくれる相手」です。¹

かけ流しの5分を向き合う時間に変える。絵本で1つ問いかける。そして週1回、英語を使う場を外に持つ。ご家庭のペースで組み立てられることは、たくさんあります。

ローラスでは、生後10ヶ月から参加できる親子英語教室と、13学校見学や説明会も実施しています。お子様が英語の歌や講師にどんな反応を見せるか、実際の様子をご覧いただける機会としてお気軽にご利用ください。

Q&A よくある質問

9件

教室に通うかどうかとは別に、家庭を中心に英語に触れる環境をつくる取り組み全般を指す言葉です。歌やかけ流し、絵本の読み聞かせ、生活の中の語りかけ、動画やアプリの活用などが含まれます。決まった方式や教材があるわけではありません。

年齢の決まりはありません。0歳から歌で始める家庭も、2〜3歳から絵本を増やす家庭もあります。研究から言えるのは、開始時期より「やりとりを伴う形で続けられるか」が結果に関わるという点です。5

家庭で英語に触れること自体には意味があります。ただし流しておくだけでは伸びにくく、対面のやりとりを伴わない音声・映像では学習が確認されなかった研究もあります。4方法の見直しで変わることが多いテーマです。

高価な教材から始める必要はありません。英語の歌を口ずさむ、絵本を1冊読む、"All done!" と声をかける。この程度で入り口になります。教材を選ぶ場合は、一方的に流すものより応答や問いかけが生まれるものが向いています。

できます。介入研究が重視していたのは発音の正確さではなく、やりとりの往復の回数でした。⁵保護者の方は日本語で語りかけ、英語の音は歌・絵本・講師から届けるという役割分担でも成り立ちます。

時間の正解はありません。長さを増やすより、そのうち数分を向き合って声をかけ合う時間に変えるほうが効果が期待できます。動画を使う場合は、1歳未満は座ったままの視聴を避け、1〜2歳は1日1時間以下という公的な目安があります。8

一度量を減らし、歌や遊びに戻すことをおすすめします。家族が心地よく過ごせる状態を保つことは、2言語の発達を支える条件のひとつと考えられています。2お子様の反応を基準に調整してみてください。

家庭だけでも英語に触れる環境はつくれます。一方で話す力が育つには使う機会が必要であり3、家庭でその相手を用意するのは難しい面があります。週1回でも英語で応答してくれる相手がいる場を足すと、家庭での取り組みが活きやすくなります。

遅くはありません。小学校では第3・4学年で外国語活動、第5・6学年で教科としての外国語が実施されており10学校の学びと家庭の取り組みを重ねていけます。年齢が上がると論理的な学習が可能になるという利点もあります。

  1. 親による言語入力のパターンと子どもの二言語使用 — アニック・デ・ハウワー、『Applied Psycholinguistics』、2007年 デ・ハウワー・『応用心理言語学』(2007年)
  2. 調和のとれたバイリンガル育成:言語お問い合わせ な状況における若い家族のウェルビーイング — アニック・デ・ハウワー、『International Journal of Bilingualism』、2015年(著者版、HaBilNet) デ・ハウワー・『International Journal of Bilingualism』(2015年)
  3. 二言語環境と語彙の発達との関係 — エリン・トルダルドッティル、『International Journal of Bilingualism』、2011年 トールダルドッティル・『International Journal of Bilingualism』(2011年)
  4. 乳児期の外国語体験:短期的な接触と社会的相互作用が音韻学習に及ぼす影響 — Kuhl, Tsao & Liu, PNAS, 2003 Kuhl, Tsao & Liu · PNAS (2003)
  5. 親へのコーチングは会話のやり取りを増やし、乳児の言語発達を促進する — フェルジャン・ラミレス、ライトル、クール、PNAS、2020年 ワシントン大学 I-LABS · PNAS (2020)
  6. 「今、誰が話しているの?」——親語、社会的文脈、そして経時的な言語発達 —— ラミレス=エスパルサ、ガルシア=シエラ、クール、『Frontiers in Psychology』、2017年 Ramírez-Esparzaら・『Frontiers in Psychology』(2017年)
  7. 対話型親子の読み聞かせの付加価値:メタ分析 — Mol、Bus、de Jong、Smeets、『Early Education and Development』、2008年 Molら・『Early Education and Development』(2008年)
  8. 「メディアと幼い心(乳幼児のメディア利用に関する方針声明)」— 米国小児科学会、2016年 米国小児科学会(2016年)
  9. 5歳未満の児童における身体活動、座りがちな行動および睡眠に関するガイドライン — 世界保健機関(WHO)、2019年 世界保健機関(2019年)
  10. 2017年度改訂版小中学校学習指導要領(外国語・外国語活動)に関するQ&A — 文部科学省 文部科学省・学習指導要領Q&A
  11. プリスクール 公式サイト) —ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンス Laurus ·プリスクール
  12. プリスクール —ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンス Laurus ·プリスクール
  13. 学校見学・説明会 —ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンス ローラス・スクール見学
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